自分が面白いと思った有益な情報を記録します。主に週末にリリースします。
# Brilliant Jerk
今週、Netflixで[Blackberry](https://www.imdb.com/title/tt21867434/)という映画を観ました。日本ではあまり馴染みがありませんが、BlackberryはRIM社が製造した携帯ブランドで、iPhoneが普及する前にアメリカのエリート層で人気を博しました。最盛期には、アメリカの携帯市場シェアの40%を占めるほどの勢いがありました。特にNOKIAとは異なり、フルサイズの物理キーボードを搭載していることが製品の特徴でした。
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映画自体は非常に面白かったのですが、特に印象に残ったのはco-CEOのJim Balsillie氏の描写でした。BlackberryはJim氏なしでは成功しなかっただろうと思います。しかし、皮肉なことに、Blackberryの衰退も彼が主な原因の一つでした。
映画なので描写は誇張されている部分もありますが、Jim氏は典型的な「ブリリアントジャーク(優秀だが扱いづらい人物)」の例と言えるでしょう。
**[[Brilliant Jerk]]の定義:**
NetflixのCEOであるリード・ヘイスティングスが2009年のプレゼンテーション「Netflix Culture: Freedom & Responsibility」で広めました。優れた才能を持ちながらも、職場文化やチームのパフォーマンスに悪影響を与える人物を指します。
いくつかの特徴的な描写を挙げてみましょう:
- 自分の利益のためなら誠実さ(Integrity)のない行動を繰り返す
- クライアントに好印象を与えるために上司の指示を無視し、同僚の手柄を横取りしようとして失敗する
- RIM社に応募する際、前職で解雇されたにもかかわらず自主退職と嘘をつく
- 優秀な人材を引き抜くために、バックデートのストックオプションを不正に利用する
- すぐに同僚に怒鳴る
- 部下にすぐ悪態をつく
- 競合相手に必要以上に意地悪をする
- 自分と同じようなタイプの人物をCOOとして取り込む
こんな人と絶対働きたくないと思うでしょうが、Jimほど極端でなくても、実際に会社にはこのような人がいませんか。職場では「成績を出しているから仕方ない」と我慢したり、敬遠したりする人が多いと思います。実際、私もそのように対応していました。「会社に利益をもたらしているから」と考えがちです。
しかし、改めて考えると「やはり明確に指摘・対処すべきだ」と思います。なぜなら、短期的には組織に利益をもたらしているように見えても、長期的にはマイナスの影響が大きいからです。さらに、このマイナスの影響の大きさと期間は、Brilliant Jerkの能力や地位に比例して長期化します。JimのようにCEOであれば、会社を大成功に導いた場合、文句を言える人がいなくなってしまうでしょう。
では、Steve Jobsも部下に激怒することで有名ですが、彼もBrilliant Jerkなのかについて考えてみました。私の答えはNoです。主に以下2点が理由です:
1. 私欲のためにBrilliant Jerkのような行動をしていない
2. Integrityのベースラインがある
Steve Jobsの伝記を見てもわかりますが、彼は非常にプロダクトにこだわる人です。怒る場面のほとんどは、その人ではなく、本質的には自分の期待値に到達していないことに対して怒っていると思います。また、いかに絶望的な状況であっても、彼は法に触れるような嘘をついたり、行動したりしませんでした。この integrity の一貫性が、彼をBrilliant Jerkとは異なる存在にしていたのです。
# iPhone 16
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今年も新しいiPhoneが発表されました。物理カメラボタンが追加された以外には、目新しい機能はあまりありませんでした。今年の発表で注目を集めた「Apple Intelligence」は、実際に発売されたiPhoneには搭載されておらず、10月から順次英語版がリリースされ、他の言語版は来年まで待つ必要があります。これはAppleとしては初めての試みです。「将来のソフトウェアアップデート」を売りにしている企業は少なくありませんが、失敗例も多いのが現状です。
代表的な例として、CES 2024で大ヒットしたAIデバイス「rabbit r1」があります。リリース直後、優れたハードウェアデザインとAIのトレンドにより、200ドルのこのデバイスは50,000台の予約販売に成功しました。しかし、実際に届いた製品は機能が乏しく、おもちゃ同然でした。
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今後、このような「約束」を売りにする企業がますます増えていくと予想されます。消費者としては、製品を購入する際により慎重に確認する必要がありそうです。